ご挨拶

全日本カッター連盟
会長 庄 司 邦 昭

 2014年5月、第58回全日本カッター競技大会終了後の連盟会議において神戸大学の鈴木三郎先生(神戸大学名誉教授)から会長を引き継ぎました。 私は高校、大学ではサッカー部に属し、マリンスポーツとは縁遠い存在でしたが、実習授業の際に大学周辺で漕いだり、房総半島の富浦でカッターにセイルを付けた帆走実習を通したりしてカッターに親しむようになりました。東京海洋大学海洋工学部の前カッター部顧問であり、全日本カッター連盟の元会長の吉田卓也先生から、カッターとサッカーは一字違いだと言われ、カッター部の顧問を引き受けたときからカッター競技を見させていただいております。
 海のカッターは陸のサッカーとは随分と違いはありますが、いくつかの共通点も感じています。たとえばチームプレイの精神がその一つで、一人でいくら頑張っても良い結果に結びつきません。また頭と眼は両スポーツとも大事な要素だと思います。カッターは単に体力のみでなく、眼で風や流れや周囲の状況を把握して頭で的確な判断を下すことは、勝利に向けて重要なことだと思います。
 私自身、カッター競技に競技者として歴史を刻んだ訳ではありませんが、カッターを愛する皆様に自慢できることがあります。それは昭和32年6月23日に第1回全日本カッター競技大会が東京の晴海沖で開催されていますが、当時小学校4年生だった私は東京商船大学に勤めていた父に連れられて、お台場から観戦しました。それまではおそらく各地方ごとに開かれていたのかと思いますが、初めて全国の大学が一か所に集まって大会が開けるようになったと語ってくれた父の言葉に、歴史的な一歩を感じたものでした。
 ロンドンの科学博物館には1829年の第1回のオックスフォード大学とケンブリッジ大学のボート競技で優勝したオックスフォード大学のエイトが保存されています。このエイトをみると動くシート(座席)もなくスウォート(thwart)に座って漕ぐ、まったく今のカッターをスマートにしただけの艇を使って対抗戦がはじめられたことが分かります。カッターは早慶レガッタのようなボート競技の源流でもあるわけです。
 全日本カッター競技大会も平成26年に第58回を迎え、競技をする皆様の熱い思いを大会に向け、この大会がさらに歴史を積み重ねることを期待するとともに、カッター競技に対する多くの皆様のご理解が得られますように微力ながら尽力できればと思っております。


全日本カッター連盟
前会長 鈴木三郎

カッターの魅力

 私が、カッターボートを知ったのは、昭和36年4月神戸商船大学に入学した時でした。寮の同室である1年上の先輩から「カッター部に入らなければ商船大学生ではない。」と勧められ、入学したあくる日にカッター部の試乗会に連れて行かれ乗ったのが最初でした。それまで、小型の船と言えば、池や海岸で遊ぶ2人乗りの手漕ぎボートしか知らなかった私にとって、12人で漕ぐボートは大変大きくどっしりとしており安定感があり、先輩達の日焼けした筋骨隆々とした体を見て頼もしく引付けられるものがあり、その場で「入部します。」と言ってしまいました。
 以後、毎日、鉛入りのオールを握り、奴隷の如く漕ぐ日が続きました。漕ぐ技術をマスターするにつれて欲が出、どのように漕ぐとスピードが出るのか、どのようにすればクルー12人が一つになり水すましのように整然と力強く漕ぐ事ができるのか、静かな海面では波のある海面では、静止状態から速度を上げるには、無駄なく回頭するには……と欲が尽きませんでした。カッターを漕ぐと言う、至って単純な動作の中に極めれば極めるほど難しい課題が沢山あることが解りました。
 また、クルー12人と艇長並びに艇指揮の14人が一体となる団体競技でもあり、チームワークの醸成が大きな課題でもあります。個人個人が極めた技術をチームの中でそれぞれが一体化させるためには目的・目標を一つにし、克己的協同と団結力が求められます。 完成されたカッタークルーの橈漕の姿は、外から見ても内から見ても、無駄な動きが一切なく、あたかも機関車のピストンロッドのように、力強く大変美しいものです。
 長さ9mのカッターボートとは言え、船を自分たちの力のみで、ある時は強風を圧して高い波浪を乗り切り、ある時は強潮流に逆らって進み、広いオープンな海面を、漕ぎ切ったという充実感は大変大きく、何物にも替え難いものがあります。カッターを漕ぐ魅力はこの達成感にあるものと思います。
 このような魅力を、全国にある海事・水産系並びに海のスポーツとして活動する大学・大学校・高等専門学校等を活動の拠点とし、海に親しみながら市民と一体となり、全国に広めることが全日本カッター競技連盟の使命であり、私の使命であると存じます。関係各位のご支援を切にお願いする次第です。

全日本カッター連盟 連盟規約

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